映像を四角い画面から解放した先駆者、トニー・アウスラー。森美術館キュレーターの椿玲子さんを迎え、虎ノ門ヒルズ「TOKYO NODE」で開催中の大規模個展を深掘りします。デヴィッド・ボウイとの伝説的共作や、マジシャンだった祖父・天使を信じた父といった家族の物語、そして3,000点を超えるオカルト収集品まで、技術と霊知が交差する唯一無二の表現に迫ります。Guest Profile
- 椿玲子(つばき れいこ)
- 森美術館キュレーター。2002年より森美術館に所属し、「医学と芸術展」「宇宙と芸術展」「レアンドロ・エルリッヒ展」など、数々の話題の展覧会を企画担当
- 現在、虎ノ門ヒルズの文化複合施設「TOKYO NODE」の企画にも携わり、本展「トニー・アウスラー展」のキュレーションを手掛ける
Show Notes
- 森美術館とTOKYO NODEについて
- マルチメディア・アートの先駆者、トニー・アウスラー
- 映像の解放者: 映像をモニターの「四角い枠」から解放し、人形や立体物、屋外建築などに投影する表現を90年代から切り開いたパイオニア
- カリフォルニア芸術大学(カルアーツ)時代、マイク・ケリーらとアーティスト・バンド「ザ・ポエティクス」として活動
- 現代美術の巨匠ジョン・バルデサーリやローリー・アンダーソンから直接教えを受けていた
- 「奇妙な家族」のルーツ
- 祖父(チャールズ・フルトン・アウスラー)は有名マジシャンであり、脱出王フーディーニと共に偽霊媒師を暴く活動も行っていた
- 父(フルトン・アウスラー・ジュニア)は雑誌副社長を務める傍ら、天使の遭遇証言を集めた雑誌『エンジェルズ・オン・アース』を創刊
- 本展の見どころと主要作品
- 《スペキュラー》: 暗闇に浮かぶ10個以上の巨大な「眼」のインスタレーション。現代の監視社会を象徴する
- 《計り知れないもの(インポンデラブル)》: 作家の家族の実話を基に、19世紀のトリック「ペッパーズ・ゴースト」を用いた映像作品
- 《空(くう)》【世界初公開】: 1999〜2000年に撮影されたデヴィッド・ボウイの映像と、グレン・ブランカの音楽が融合した没入空間
- 《キメラ》: 天井高15mのドーム空間を活かした最新作。都市伝説や未確認生物(UMA)をテーマに、虎ノ門の夜景ともリンクする
- 展覧会・出版情報
プロデューサーの編集後記
- 映像を「枠」から出した先駆者の話から、まさかデヴィッド・ボウイや脱出王フーディーニ、さらには「天使を信じる雑誌」まで繋がるとは思いませんでした。
- 「キリストの奇跡は信じるが、心霊写真は嘘だと暴く」というおじい様のエピソードは、現代のSNS社会で私たちが直面している「何を信じ、何をフェイクとするか」という問題に直結しているようで非常に興味深かったです。
- 夜景と重なる「巨大な眼」や、世界初公開のボウイのインスタレーション。東京のど真ん中に出現した、怪しくも知的な「魔術の空間」の熱量をぜひ体験してほしいです。