彫刻の枠を超え、毛布をアートに変える江頭誠さん。岡本太郎賞を受賞した霊柩車から最新展まで、身近な素材を独自の価値観へ変換する制作のプロセスを紐解きます。Guest Profile
- 江頭誠(えがしら まこと)
- アーティスト。1986年三重県出身。2011年、多摩美術大学美術学部彫刻学科を卒業。2015年に、発泡スチロール製の霊柩車を毛布で装飾した作品《神宮寺宮型八棟造》で「第18回岡本太郎現代芸術賞」特別賞を受賞。翌年には毛布製。の洋式トイレ《お花畑》で、青山スパイラルで開催されるアートコンペ「SICF17」のグランプリを受賞する。純粋芸術の枠を超え、ミュージシャンYUKIのMV「My lovely ghost」や、GUCCIのショートフィルム「Kaguya by Gucci」のアートワークを手掛けるなど、幅広い分野で活動している。
Show Notes
- 江頭さんについて
- 話題に上がった人物・用語
- 《神宮寺宮型八棟造》:岡本太郎現代芸術賞特別賞受賞作。発泡スチロールと毛布による霊柩車の作品。
- 《お花畑》:SICF17グランプリ受賞作。毛布で構築された洋式トイレの空間作品。
- 《大阪冬の陣》:多摩美術大学の卒業制作として制作された、毛布製の大阪城。
- アンリ・ルソー:フランスの画家。代表作「夢」が、今展のタイトル「夢見る薔薇」や病部の作品と偶然にもイメージが合致した。
- 水木しげる:漫画家。江頭さんが多大な影響を受けた人物。『コミックボンボン』の連載で描かれていた「妖怪の気配」が作品の原点にある。
- アンティーク山本商店:下北沢にある家具店。江頭さんが卒業後5年間、修業を兼ねて働いていた場所。
- 展覧会情報
プロデューサーの編集後記
- 大学卒業後、アンティーク山本商店での5年間の「空白の期間」を経て、岡本太郎現代芸術賞やSICFという権威ある賞を立て続けに受賞した江頭さんの歩みは、まるで「ダサい」と一蹴された毛布がアートとして逆襲を果たすサクセスストーリーのようでした。
- トークの中で、アンリ・ルソーの「夢」というキーワードが、江頭さんの最新展「夢見る薔薇」と無意識下で繋がっていたエピソードには、表現者が持つ普遍的なアンテナの鋭さを感じます。
- 霊柩車やトロフィーといった「強さ」の象徴を毛布で包み込み、最後には油粘土の犬という「手の痕跡」に辿り着く構成。それは、水木しげる作品から学んだという「見えない気配」を、現代の美術館という空間に召喚しようとする、極めてパーソナルで情熱的な試みだと思いました。